令和3年度 若狭高校全日制 入学式式辞


 早いもので4月ももう半ばを過ぎました。本日まで入学式を延期せざるを得なかったことをまず新入生の皆さん、そして保護者様・ご家族の皆様にお詫び申し上げます。  

 本日ここに令和3年度、福井県立若狭高等学校「入学式」を挙行するに当たり、全日制PTA会長 松葉洋記(まつば ひろき)様にご臨席を賜りました。心からお礼申し上げます。  
 4月7日に入学を許可しました、全日制普通科、文理探究科、海洋科学科、定時制普通科、合計255名の新入生の皆さん、入学おめでとう。皆さんを令和3年度入学生として迎えられることを、心から嬉しく思います。  

 皆さんは、高校入試という関門を突破して見事若狭高校に合格され、今日を迎えられました。4月8日からオンラインでホームルームや授業を行ってきましたが、クラスメイトや担任の先生、先輩方と直接顔を合わせるのは今日が初めてですね。どんなにか今日の日を心待ちにされていたことでしょう。
 皆さんと同じように、私を含め先生方も先輩方も皆さんにお会いできることを心待ちにしていました。ようやく今日、全学年がそろい、若狭高校の新しい1年が始まります。

 入学にあたり、私から若狭高校の歴史と本校の教育目標についてお話したいと思います。本校は、1774年、小浜藩校である「順造館」を始まりとし、1897年(明治30年)を創立の年と定めて、今年創立124年目を迎える県下でも有数の歴史と伝統を誇る学校です。同窓生は既に3万名を超え、地域や県内はもとより日本そして世界各地で活躍しています。その同窓生の誰もが大切に心に刻んでいるのが、「異質のものに対する理解と寛容の精神を養い、教養豊かな社会人の育成を目指す」という本校の教育目標です。  

 この目標は、1949年(昭和24年)に若狭高校が現在の形としてスタートした時に定められ、以来今日まで72年にわたり本校の教育の根幹をなしてきました。本校の教育活動はすべてこの目標のもとに行われています。  

 また、本校は平成23年度よりSSH(スーパーサイエンス・ハイスクール)の指定を受け、「地域資源を活用した探究学習により地域と世界を結ぶ科学技術人材の育成」を目標として、若狭地域の資源や直面する課題、身の回りの事象に対する素朴な疑問などを生徒自らが課題として設定し、実験や調査などを通して科学的な視点で探究していく探究学習に力を入れています。各教科学習においても、学習内容に対して一人ひとりが疑問や課題意識を持ち、主体的に学んでいくことを大切にしています。こうした生徒の皆さんの探究的な学びが高く評価され、昨年度受けた中間評価では、全国77校の中で最も優れた取り組みであるという最高の評価を受けました。  

 さらに、本校はOECDイノベーションスクールネットワークにも加盟しており、OECDが2030年に向けて世界の子どもたちに育もうとしているコンピテンシー(資質能力)である「Student Agency」の育成を目指しています。

 Student Agencyとは、「主体的に考え、行動し、責任を持って社会改革を実現していく意志や姿勢」を意味し、一昨年度には、東京で開催されたOECD世界教育者会議において皆さんの先輩が日本代表として自分自身の探究学習について発表し、OECD教育・スキル局長であるアンドレアス・シュライヒャー氏より「society5.0時代における人材育成」の教育モデルとして高く評価されました。

 このように、本校で学ぶ生徒の皆さんの学びに向かう姿勢は、SSHにおいても、OECDイノベーションスクールネットワークにおいても、日本そして世界から高く評価されており、皆さんにもぜひ先輩たちのように、自ら主体的に学んでいくことを大切にしてほしいと思います。

 今年の卒業式で、私は卒業生に対して次のようなメッセージを贈りました。
「新型コロナウィルスの収束が未だ見えてこない中、今世界の人々に求められているのは、「異質のものに対する理解と寛容」の精神に象徴されるように、他者を認め尊重する心を持ち、科学的なものの見方や考え方に基づいて、責任を持って主体的により良い社会を築いていこうとする意志と行動力、すなわち「Agency」を発揮していくことであり、これこそが皆さんが3年間の高校生活で身に付けてきた「教養豊かな社会人」としての資質です」。
 この言葉を、今日は皆さんに「未来形」で贈りたいと思います。

 今日から始まる高校生活、友人や先輩と友情の輪を広げ、互いに認め合い、高め合って、「教養豊かな社会人」としての資質を身に付けてください。  
 入学生の皆さん一人ひとりの高校生活が、楽しく有意義なものになることを心から祈念して、式辞といたします。   
                
  令和3年4月19日              
福井県立若狭高等学校長 中森 一郎