校長室より #32

3学期始業式式辞
皆様、明けましておめでとうございます。昨年中は本校の教育活動に対し温かいご支援とご協力を賜り誠にありがとうございました。本年もどうかよろしくお願いいたします。今回は本日行いました3学期始業式の式辞を紹介します。
皆さん、明けましておめでとうございます。今年もどうかよろしくお願いします。
お正月はどのようにして過ごしましたか。2学期の終業式でお話しした「脳と身体」の関係のことを意識して笑顔で過ごしてもらえたでしょうか。さて、今日は先日の話を踏まえ、笑顔の効果等も含めた「礼儀正しさ」の大切さについて、ジョージタウン大学准教授、Christine Porath氏の著書である「『礼儀正しさ』こそ最強の生存戦略である」という書籍を参考にしてお話したいと思います。
Christine Porath氏は20年間にわたり、世界中のあらゆる業種、あらゆる種類の組織に所属する何十万という人を対象に「職場の無礼」について研究し、職場における無礼な態度がいかに多くの人の意欲や能力を損ない、人間関係を台無しにし、結果的に会社に大きな害をもたらすかということを明らかにしてきました。
また、その研究の過程で一つの重要な発見をしました。それは、どのような立場の人であっても仕事で成功するためには、「自分はどういう人間になりたいのか」ということを問い続ける必要があるということです。「自分はどういう人間になりたいのか」という問いは、2学期の終業式でSSH研究部長の渡邉先生がご自身の人生をもとに皆さんに投げかけられた問いであり、何より皆さん自身が常に問い続けていることでもあると思います。
Porath氏は長年にわたる研究結果から、この問いを実現し仕事で成功するために最も重要なのは職場の人間関係を良好に保つことであり、その基礎になるのが「礼儀正しさ」であるという結論に至りました。視点を変えると、礼節をわきまえない「無礼」な上司・同僚・組織のもとでは「なりたい自分」にはなれず、仕事で成功することは難しいということです。「無礼」な態度とは、例えば馬鹿にして見下したり、大声で恫喝したり、差別的な発言をしたりといったことが挙げられ、その言動を受けた人はもとより周囲の人の思考力を低下させ、持てる能力を発揮できなくしてしまったり、大きなストレスを与え健康を損なう原因になったりして、多くの人を不幸にしてしまいます。
この「無礼」な振る舞いが様々な問題を引き起こすことについては、職場に限ったことではなく学校においても起こりうることです。皆さん自身、所属するクラスや部活動等において多少なりとも経験してきたのではないかと思います。
研究結果によると、世界的に見ても「無礼」な人は増加しているようであり、その原因として、グローバル化による文化の違いや世代間の価値観の違い、多忙化・孤立化する職場環境やテクノロジーの発達によるコミュニケーション能力の低下などが考えられるということです。
そして、こうした「無礼」な人たちに対して私たちはどのように対処していけばよいのかということについて、Porath氏は一人一人が礼節を重んじ「礼儀正しく」振る舞うことが最も大切であるとし、3つの基本的なマナーを身につけるよう提案しています。
一つめは「笑顔を絶やさない」ことです。
笑顔は、周囲のみんなを笑顔にし幸せな気持ちにします。
二つめは「相手を尊重する」ことです。
具体的な行動として、Porath氏は「褒め上手」になることを提案しています。先日お話したように、人は「褒められる」と嬉しい気持ちになり脳が「やる気」になるのです。
三つめは「人の話に耳を傾ける」ことです。
人の話をよく聞くことは人間関係を築き、維持し、深める上で大切であるとともに相手から様々な情報やアイデアをもらえる絶好の機会になります。
本校の教育目標である「異質のものに対する理解と寛容の精神」を養う上でも、この3つのマナーを身につけることが大切ではないでしょうか。3学期は、1年を締めくくる学期であるとともに新たな学年・新たな世界に一歩踏み出す準備期間でもあります。クラスや部活動など、皆さんが所属する集団においてよりよい人間関係を築くことが「なりたい自分になる」ために必要であることを心に留めて、学校生活はもとより家庭や社会においても今お話しした3つのマナーを心がけてください。以上で私の話を終わります。
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