指導と評価


【令和2年度】


福井県立若狭高等学校と横浜国立大学教育学研究科との共同研究に関する 契約締結式を行いました!!

令和3年2月2日(火)13:30より、福井県立若狭高等学校と横浜国立大学教育学研究科との共同研究に関する契約締結式をオンラインで行いました。福井県教育委員会 教育長 豊北欽一様、副部長 油谷 泉様にも出席していただきました。
この共同研究の概要と、締結式での校長先生の挨拶はこちらからどうぞ!
当日の福井テレビ様、翌日福井新聞様、県民福井様にも大きく取り上げていただきました。

2021/02/03更新

探究の授業改善についての教員研修会を実施しました!

令和2年5月に実施した「探究の学びについてのアンケート」の分析結果に基づいて、令和2年6月23日に「探究の授業改善についての教員研修会」を全教員で実施しました。

この研究を通じて、生徒の探究についての質問紙の分析結果を学校設定科目「探究」の授業改善につなげる目的です。若狭高校はこの研究について横浜国立大学 准教授 脇本健弘先生と内田洋行と共同研究をしています。当日はまず横浜国立大学 准教授 脇本健弘先生の講義を聞き、その後質問紙の分析結果を基に先生方で議論をしました。
 

【先生方の感想より】
・探究の授業について、他の先生方も私と同じような悩みを持っておられることがわかって少しほっとした。アンケートについて、「自ら課題設定」や「社会貢献」など言葉の意味をテーマ設定の段階でしっかりと伝えることが大切だと感じた。
・やはり生徒のもつ興味感心をどれだけ研究につなげるかという生徒のしたいことをさせるということが大切だと思います。大人の視点で進めてしまい、せっかくの生徒のもつ感性をつぶしてしまわないように「疑問を大切に」したいです。
・課題設定をしっかり行い最終的に生徒に達成感を得らせる事だと思います。その為の指導は、難しいと思いますが、情報を共有して全体でスキルアップしていけば良いと思います。

2020/9/1更新


【令和元年度】
探究の授業評価に向けて 
 ~質問紙調査による「探究」の評価の研究を始めています~


 学校設定科目「探究」の学習過程における行動・意識やその生徒がそもそも持つ学習観等を質問紙調査により定量的に分析し,教員についても,教員の生徒に対する理解,教員の指導方法,教員間の連携・協力,指導体制の観点に関する意識を,質問紙調査により定量的に把握し分析を通して,現状把握を行い,生徒の学びと教員の指導の因果関係等を量的アプローチにより明らかにし,カリキュラム評価につなげるため、横浜国立大学の脇本健弘先生と共同研究を始めています。

 平成30年4月より研究内容の打ち合わせを開始し、若狭高校の「探究」について評価するためにはどのような質問項目が必要かから話し合いで決めていきました。 平成30年度のプレ調査を踏まえて、令和元年度は全校生徒・担当教員に対して、質問紙調査を行いました。
  

事業評価
 ~卒業生インタビュー~
(1)目的  SSHの教育活動を実施した卒業生がどのように変容し,学びを継続・発展させているのか ,明らかにすることにより,評価方法や評価基準はもちろん,カリキュラムや授業内容の改善につなげていく。 
(2)実施内容  生徒の記述および卒業後のインタビューから,学びの本質的な構造を把握(本質観取)するために,得ら れた資質,能力を推察し,どのような活動や背景が学習過程に存在したかを学習経験として書きおこし,評価した。 
(3)検証と課題 ①検証
②課題
2019-8-27 「データによる探究の授業改善のあり方を探る」教員研修会を開催しました。  

 4月にとった全校生徒・担当教員に対して行った「探究」についての質問紙調査のデータを元に、横浜国立大学の脇本先生と研究協力していただいている内田洋行さんと若狭高校の有志の先生17名で分析する会を開催しました。  
 

参加していただいた先生方


2019/09/27更新


【平成30年度】

「高次の資質・能力を育むために有効な評価の方法と評価基準の開発」を目的に以下のような仮説を立て評価方法の検討をしています

1 仮説
 課題研究の更なる充実に向け,3ケ年にわたる段階的・系統的な指導及び評価方法と評価基準の作成からなるカリキュラム開発を実践することて, 主体的な態度て科学的・数学的に解決可能な課題を設定し解決する能力,更には見通しをもった計画立案やふり返りかてきる内省的な態度, 他者との関係性を築き対話的に物事を進める資質,研究に対する使命感や倫理観なと科学技術人材として求められる高次の資質・能力を育むことかてきる。


2 仮設の検証のための実践
(1)卒業後の生徒の評価の検討
(2)質問紙調査による評価の検討
(3)評価基準表の見直し
(4)教員のコミュニティ作り
3 検証のまとめ

 平成29年度より,第1期の評価基準表を用いた評価の省察,評価研究会の実施,卒業生のインタヒュー調査とその分析を開始している。 本年度は,特に4つの取組に重点を置き,開発を行った。

 1つ目が,卒業生のインタビュー調査の分析結果をもとにした省察である。 インタビュー調査の分析から,探究的な学習を実施した生徒の学びとその変容,教員コミュニティの変化,探究学習における壁や方法が示された。

 2つ目が,質問紙調査による探究的な学習をしている生徒の量的評価研究である。 現状を明らかにする記述統計,タイプ分けするクラスター分析,様々な因果関係を明らかにする回帰分析, モデルを作る共分散構造分析などの手法を用いて統計処理した上で,定量的に評価を行うための研究を行っている。 横浜国立大学教職大学院との連携により,評価項目の選定を行った。

 3つ目が,評価基準の見直し・運用である。本年度は,評価基準の大幅な見直しを実施した。 第3回教科「探究」担当者会議で,{1}科学的な問題への定式化とその解決(1・2・5)の要素 {2}持続可能な開発発展という視点から見た地域の問題認識の深さ(3・4・5)の要素 {3}社会的責任と研究者倫理(3・5)の要素に分けた評価基準表を検討 することができた。実施時期についても検討を行うことができた。

〈新たな評価規準表〉
課題設定能力評価基準 5 素晴らしい  4 よい  3 合格  2 もう一歩  1 かなりの改善が必要 
学びに対する自主的、主体的な態度 自らの興味関心、知識や技術を充分に把握したうえで、それらを活用しようとしている記述がある。  自らの興味関心,知識や技術を十分に把握した記述がある。 自らの興味関心を示した記述がある。 自らの興味関心,知識や技術の認識が浅い。 自らの興味関心,知識や技術の記述がない。
科学的な問題への定式化とその解決 科学的な視点で具体的な課題設定や仮説が立てられており,科学的に解決可能な手法を用いた具体的な方法の記述がある。 科学的な視点で課題設定や仮説が立てられており,科学的に解決可能な手法を用いた方法の記述がある。 課題設定や仮説が立てられており,解決可能な手法の記述がある。 課題設定や仮説の記述に具体性がなく,科学的にあいまいである。 課題設定や仮説や手法の記述がない。
持続可能な開発発展という視点から見た地域の問題認識の深さ 地域の(身近な)様々な情報を正確に収集し,持続可能な社会の構築へ向けての問題の背景を総合的な視点でとらえ,自らの課題として課題を捉えた具体的な記述がある。 地域の(身近な)様々な情報を正確に収集し,持続可能な社会の構築へ向けての問題の背景を総合的な視点にとらえた記述がある。 地域の(身近な)様々な情報を収集し,持続可能な社会の構築へ向けての問題の背景についての記述がある。 地域の(身近な)情報の記述が少なく,偏っている。持続可能な開発発展に関する内容も少ない。 地域の(身近な)情報の記述がない。持続可能な開発発展に関する内容が示されていない。
社会的責任と研究者倫理 社会や研究領域においての貢献や献身的な態度,研究者としての適切な倫理観が具体的に示されている。 社会や研究領域においての貢献や献身的な態度,研究者としての適切な倫理観が具体的に示されている。 社会や研究領域においての貢献や献身的な態度,研究者としての適切な倫理的な記述が示されている。 献身的な態度,倫理的な記述が示されている。 社会や研究領域においての貢献や献身的な態度,倫理観が示されていない。

4つ目が,教員のコミュニティづくりである。教科「探究」の担当者を中心に,主体的に自らの担当する科目をふりかえり,評価していく集団作りを行った。 それぞれの科目における問題点やうまくいっている点などを共有する会議を12月から3回実施できた。会議では,各科目の内容から各科目との関連, カリキュラムの改善につながる協議が行われた。各科目担当者が自主的に議題を持ち寄り,授業改善を行うことができた。 以上,本年度においては,多角的な評価基準の開発および実施を行うことができた。生徒および卒業生のSSHによる探究的な学びとその変容をより 立体的に示す評価の仕組みづくりにむけての大きな一歩を生み出すことができた。さらに,これらの評価を行う持続的に学びを続けることのできる 教員のコミュニティの形成,コーディネーターの育成にむけての集団作りができた。

4 今後の課題

1つ目に,卒業生のインタビュー調査の実施及び分析結果の活用である。本年度は,卒業生から得られたインタヒューを福井大学教職大学院の協力のもと分析し, SSHの探究的な学習で得られた学びや学ひの本質的な構造を明らかにすることができた。 平成31年度では,引き続き調査を実施するとともに,これらの結果をいかし,授業改善を実施したい。 すでに教科「探究」の担当者会議では一部の成果を用いて,議論を始めている。

2つ目に,クラスター分析等の運用である。本年度作成した項目をもとに意識調査を実施し,意識調査項目の精選,実施時期の設定を検討したい。
3つ目に,第一期で作成した評価基準の見直しを引き続き行いたい。第一期の評価規準から①科学的な問題への定式化とその解決②持続可能な開発発展 という視点から見た地域の問題認識の深さの要素③社会的責任と研究者倫理の要素に分けた評価基準表を用いて,評価を施行したい。 また,評価の検討においては,地域や研究者など外部による評価も検討していきたい。
4つ目は,教員のコミュニティの形成である。本年度,主体性を持って協議し,必要に応じて評価やそれに基づく授業内容やカリキュラムの検討を協議できる 主体的なコミュニティを形成することができた。次年度も,コミュニティの形成を促す仕組みづくりについて,科目担当者を中心に行いたい。


本校では平成25年度より大阪教育大の八田幸恵先生による指導の下、「真正の評価」論に基づく研究開発を進めています。
科学技術人材に必要な高次の能力・資質のうち,特に課題設定能力を抽出した上で,その能力を 「事象の背景や現状を分析し,科学的根拠をもって仮説を立て,自らが発展的,独自性のある課題を設定する能力」と設定し,その評価に関する実践的研究開発を継続してきました。

平成26年度以降,地域資源を活かした探究学習を展開していることをふまえ,若狭高校が培って欲しい「課題設定能力」を評価するための観点を,
 ①研究の動機
 ②科学的に解決可能な問題への定式化
 ③地域の問題認識の深さ
 ④持続可能な開発発展に役立つものであるかどうか
 ⑤学びに対する自主的・主体的な態度

と設定した上で,生徒の学習過程を形成的に評価し指導に活かすとともに,評価基準表も作成し,論文の総括的評価にも利用しています。
【総括的評価に用いる評価基準表】
(注 この評価基準表は、八田先生との協同研究によって、本校の課題研究評価用に作られたものです。初出は平成27年3月 平成26年度若狭高校SSH実施報告書です。)
レベル  パフォーマンスの特徴 

素晴らしい 
地域の様々な情報を正確に収集し,問題の背景を総合的な視点でとらえ,自らの課題として課題を捉えた記述がある。科学的な視点で具体的な仮説が立てられており,解決可能な手法を用いた科学的で具体的な解決方法の記述がある。地域及び学問領域において持続可能な開発発展に役立つ課題であることが具体的に説明されている。自らの興味関心,知識や技術を十分に把握したうえで,課題を設定することへの積極性や研究活動の意義を具体的に記述している。

よい 
地域の様々な情報を正確に収集し,問題の背景を総合的な視点でとらえた記述がある。科学的な視点で仮説が立てられており,解決可能な手法を用いた科学的な解決方法の記述がある。地域及び学問領域において持続可能な開発発展に役立つ課題であることが説明されている。自らの興味関心,知識や技術を十分に把握したうえで,課題を設定することへの積極性や研究活動の意義を記述している。
3 
合格
地域の様々な情報を収集し,問題の背景の記述がある。仮説が立てられており,解決可能な手法を用いた解決方法の記述がある。持続可能な開発発展に役立つ課題であることが説明されている。自らの興味関心を示し,課題を設定することへの積極性や研究活動の意味を示す記述がある。

もう一歩 
地域の情報の記述が少ない。偏った記述がある。仮説の記述の具体性がなく,科学的にあいまいである。自らの興味関心,知識や技術の認識が浅く,課題を設定することへの積極性や研究活動の意義の理解が浅い。
1 
改善が必要 
地域の情報の記述がない。仮説の記述がない。自らの興味関心,知識や技術の記述がない。課題を設定することへの積極性や研究活動の意義を記述していない。

生徒の状態 研究ノートに見る生徒の記述の変化
2年7月
・教員の指導がない状態
目的 伝統食品が今も食べられてい続けているのは、私たちの生活や健康に対して何かしらの効果があるためだと考え、どのような効果があるのかを調べる。
方法 塩ウニやへしこから有効な成分を抽出して分析を行う。ペプチド、食塩量、味
2年9月
・探究協働会議を1回経験
・ルーブリックを示された後
目的 伝統食品が今も食べられてい続けているのは、私たちの生活や健康に対して何かしらの効果があるためだと考え、どのような効果があるのかを調べる。
方法 市販品塩ウニと生ウニ熱水抽出エキスの塩分濃度、食塩添加量が15%と30%である伝統的な製造方法で熟成させた塩ウニのタンパク質濃度、ACE阻害活性をローリー法とCushmanの方法で測定 した。さらに熱水抽出エキスを高血圧自然発症ラットに投与し、一定時間ごとに血圧を測定した。
2年1月
・2回の探究協働会議を経験
・冬休みに福井県立大学の研究室で実験を継続した後
目的 生鮮バフンウニに、7%以上の食塩を加え、熟成される塩ウニは、福井県の城主松平家が、開発製造した日本3大珍味のひとつである。越前岸周辺では、現在でも珍味や保存食としてだけでなく滋養強壮や体質改善などに効果があるとされ製造されている。そこで、本研究では、塩ウニの健康性機能を探索するために塩ウニ熱水抽出エキスの高血圧抑制効果について研究を行った。

方法 生鮮バフンウニ、市販品食塩添加7%塩ウニ、伝統的製法の食塩添加15%塩ウニの、それぞれの熱水抽出エキスを調整した。熱水抽出エキスの塩分濃度、ペプチド濃度を測定し、高血圧抑制効果はCushmanの方法によるACE阻害活性測定と高血圧自然発症ラット(SHR)の経口投与から測定した。
上記の生徒の記述の変化からは、科学的思考力が伸長していることがわかります。
評価の観点に基づく、丁寧な形成的評価が功を奏したと言えましょう。
とはいえ、資質・能力の育成につながる評価の観点、基準表となるよう、より洗練し,精緻なものにしていく必要があります。