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令和6年度 後期始業式 式辞

陰徳あれば、陽報あり

皆さん、おはようございます。後期の始まりに当たっての話をします。

早速ですが、9月末、本校に小浜警察署の方が見えられました。警察と訊くと思わずドキッとしましたが、今回は心がほっとする話でした。その警察官の方の話によると、ある風の強い日、小浜駅前の薬局ののぼりがたくさん倒れたのを見て、走って駆け寄って直してくれたのが本校の生徒だったそうです。どうしても、そのことを伝えたくて学校に来られた、ということでした。

また、少し前の話になりますが、市内の交差点で、お年寄りの方が転倒された時にも、とっさに本校の生徒が助けたようで、その様子を見られた方が感心した、とわざわざ学校に連絡をくださいました。

私は、それらの報告を聞きながら、体の芯が温かくなるような深い喜びに満たされました。

「陰徳あれば、陽報あり」という言葉があって、人知れずよい行いをする者には,よい報いがあり、価値のある行動だという意味です。「誰も見ていない、気付かないときこそ誠実に。」これを実践してくれている生徒の皆さんに心から敬意を表したいと思います。

 

ところで、本校は「探究Ⅰ」「探究科学」「基礎科学」をはじめとして、多くの授業で生徒の皆さんに「探究力」を育む授業を実践しています。皆さんに改めて問いますが、なぜ、探究なのでしょうか。分かっている人も多いと思いますが、これからの社会、時代の変化に対応するためです。

例えば、これは、ある大学の医学部の入試で実際に出題された小論文試験問題です。

階段を上る長いコートを着た男性の後姿があります。構内は少し暗く、なぜか階段下には赤い風船が2個、2本の糸で結ばれ浮いている写真です。

この問題は、背中が写るこの男性の目的は何で、どこに向かおうとしているのか、この男性と自分を重ね合わせてみるとどうなるか、赤い風船は何を表しているか、など、様々に思い巡らしたことを書くことができます。この問題には数学の解のように一つの明確な答えがあるわけではありません。ここ数年、大学入試問題でもこのような正解のない問題が増えているのです。

東京大学の鈴木寬教授は「AIが台頭してくる中、マークシートで測られるような知識・技能は今後、AIにとって代わられるだろう。そのような世の中で求められるのは、「言語化・数値化できないモノやコトを生み出せる能力。こうした能力を磨くには、探究学習が非常に必要になってくる。」と話されています。

本校では、10年以上前から、課題を設定し、仮説、検証していく「探究」を軸にした教育に取り組んでいます。これからの変化の激しい社会を生き抜いていくため、質問の答えを考えるだけでなく、正解のない問いに立ち向かい、自ら学ぶ心をもってほしいとの願いからです。

 

先日、元アナウンサーの「枡太一さん」が、本校にお見えになり、サバ缶などの取材をされました。校長室で私から本校のそれぞれの学科、学年の探究学習の取組を紹介させてもらいました。枡さんは、「若狭高校の探究学習はすばらしい。是非、一度来たかったんです。」と、皆さんの探究の取組に大変感銘を受けていらっしゃいました。

今後もそれぞれの取り組んでいる探究に自信を持ち、仲間同士、工夫や思考をもとに対話を重ね、飽くなき探究心を持って様々な活動に取り組んでください。また、教室の後ろの黒板に掲示してもらっているコンテストや発表会に積極的に参加してみてはどうでしょうか。

 

いよいよ後期が始まります。3年生の皆さん、本格的に進路決定の時期となります。進路実現に向けて自己と向き合い、仲間を尊重し、共に高め合ってください。2年生、1年生の皆さん、部活動に学習に充実の時を迎えます。一人一人が、自身の未来を切り拓くため、「陰徳あれば、陽報あり」を心において夢の実現に向かってチャレンジし続けることを期待しています。

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