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卒業式 式辞

式辞 


暖かな春の息吹が感じられるこの佳き日に、

高浜町長  西嶋 久勝 様をはじめ、ご来賓の皆様、
並びにご家族の皆様のご臨席を賜り、
令和七年度第七十七回卒業証書授与式を
ここに挙行できますこと、
心より厚く御礼申し上げます。 

令和七年度、第七七回 
ラッキーナンバーである「七」が三つ並ぶ、
このめぐり合わせもまた、
卒業生の皆さんの新たな出発を
祝福しているように感じられます。  

ただ今、卒業証書を手にした
定時制、全日制の卒業生の皆さん、
御卒業、誠におめでとうございます。 

また、今日まで深い愛情をもって皆さんを支え、
励まし続けてこられた、ご家族の皆さまに、
心よりお祝い申し上げます。  

毎日のお弁当作りや、夜遅くの送迎、そして何より、
お子様の葛藤や不安を一番近くで受け止めてこられた
これまでの歩みに、深く敬意を表します。
ほんとうにおつかれさまでした。 

卒業生の皆さん。
今日、皆さんは若狭高校を巣立ち、
それぞれの新しい道へと歩み始めます。  

進学する人、就職する人、新しい土地へ向かう人、
地域に根ざして歩み始める人。
その道は一人ひとり異なります。
しかし、どの道であっても、皆さんが自分らしく
未来を切り拓いていかれることを、私は心から願っています。  

いま、世界に目を向けると、痛ましい現実があります。
イランをめぐる軍事衝突が激化し、力と力がぶつかり合い、
多くの人びとの暮らしや命が脅かされています。
そこでは、違いを理解しようとする対話が断ち切られ、
異なるものを排除し、押さえ込もうとする力が
前面に出てしまいます。  

けれども、私は、力でねじ伏せることで成り立つ共生を、
ほんとうの共生とは呼びたくありません。 

だからこそ今、若狭高校が大切にしてきた価値を、
私はあらためて強く思います。 

それは、異質なものに対する理解と寛容の精神です。

自分と違う考えに耳を傾けること。

異なる文化や価値観に出会ったとき、
それを恐れるのではなく、学ぼうとすること。

違うからこそ、そこに新しい価値が生まれると信じること。

一人ひとりを、かけがえのない存在として大切にすること。

ダイバーシティとは、
ただ多様な人がいるということではありません。
違いがあるからこそ社会は豊かになり、
新しい問いが生まれ、協働の価値が高まる。
私はそう考えています。  

皆さんは、この若狭高校で、教室や行事、部活動、探究、
ボランティア、実習やフィールドワークの現場で、
多くの「違い」と出会ってきました。  

自分と同じではない誰かと向き合い、ともに考え、
ともに何かをつくってきた経験。 
そのしなやかな対話の力こそが、
これからの時代を生きる皆さんの確かな支えとなり、
進むべき道を照らしてくれるはずです。  

では、そのような時代を、皆さんはどう生きていくのか。

私は、その答えの一つは、
結果を恐れず、挑み続けることだと思います。 

この冬のオリンピック。
スノーボードの平野歩夢選手は、
金メダル連覇という大きな期待を背負い、
大怪我を乗り越えてミラノの舞台に立ちました。  

結果は、思うようなものではなかったかもしれません。
けれども、その姿は決して
「敗れた姿」ではなかったと私は思います。  

勝つことはもちろん尊い。
けれども、勝つことだけがすべてではありません。
最後まで本気で挑むプロセスそのものにも、
すばらしい価値があるのです。  

卒業生の皆さん。
どうか、自分の可能性を信じ、結果を恐れず、
思いきって挑戦してください。 

皆さんが未来を切り拓くためには、
挑み続けること、学び続けることが大切です。 

その意味で、若狭高校が大切にしてきた「探究」の学びも、
皆さんのこれからにつながっています。 

いまは、生成AIを使えば、
知識や、もっともらしい答えが、たやすく手に入る時代です。
だからこそ、
これから価値を持つのは「答えを知っていること」以上に、
「問い」を立てる力です。 

「自分は何を成し遂げたいのか」
「手にした力を使い、誰を笑顔にしたいのか」 

そう自ら「問い」を立てること。
人生という船の舵を他人に委ねず、
自ら握り、進む道を選び取ること。  

その力こそが、皆さんのこれからの航海を支える
確かな羅針盤となります。 

そして最後に、
皆さんに、もう一度伝えたいことがあります。
世界をよりよいものにしたいと願うなら、
傍観者であってはならない、ということです。
マイケル・ジャクソンが歌う 

 Man in the Mirror という曲があります。 

この歌詞に、
 “Take a look at yourself and then make a change”
という一節があります。  

世界をよりよいものにしたいのなら、
まず自分自身を見つめ、そして自分が変わることから始めよ。
――そんな呼びかけです。 

社会のことを論じ、時代を批評することはできます。
けれども、それだけでは世界は変わりません。 

自分は何をするのか。
自分はどう動くのか。
自分は誰と、どんな社会をつくりたいのか。

その問いから目をそらさず、
自らの一歩を踏み出す人だけが、
社会を少しずつ変えていくのだと思います。  

卒業生の皆さん。
これから皆さんが向かう世界は、荒波もあり、
地図のない航海になるかもしれません。 

しかし、この若狭高校で培った「問いを立てる力」があれば、
皆さんは必ず自分自身の航路を見つけ出すことができます。 

どうか、違いを恐れず、
違いの中に価値を見いだす人であってください。
どうか、力ではなく対話を選び、答えを待つのではなく、
自ら問いを立て、行動する人であってください。  

そして、世界をよりよくしたいと願うなら、
まず自分自身を見つめ、
自分から一歩を踏み出す人であってください。  

たとえ歩みはゆっくりでも、焦らず、ぼちぼちで良いのです。
自分のペースで、自分の歩みをすすめていってください。
私は、皆さんなら、それができると信じています。
卒業生の皆さん一人ひとりの前途が、
希望に満ちたものであることを心から願い、
式辞といたします。 

 

令和八年三月四日
福井県立若狭高等学校長  渡邉久暢 

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